藤沢・鎌倉で入れ歯専門の歯科医院_リーゲルテレスコープの症例

2017/08/14
リーゲルテレスコープ片側遊離端

・バネ式の部分入れ歯が合わなくて痛いという、73歳の女性です。

あらやしき歯科医院への来院時は、

「左下の部分入れ歯が合っていない。痛くて食べられない。話していると浮きあがってしゃべりにくい」という主訴でした。今までに3つ、同じようなクラスプ式部分入れ歯を作製したらしいのですが、いずれも合わなくて困っていました。

 

定期的に歯科医院に通って、歯石除去と入れ歯の調整を繰り返してきたのに、一向に良くなっていかなかった。さらには、前医にかみ合わせの違和感が強いことを伝えると、何度も歯を削られてしまい、どんどん歯が短くなって怖くなった。というお話でした。

 

日本で一般的に用いられている入れ歯は、クラスプと呼ばれる金属のバネを歯に引っ掛けることで、入れ歯を口の中に維持させます。クラスプ式の義歯は、バネを掛けた歯に、噛んだ時の力が集中してしまいます。さらには、てこの作用で歯を引き抜く方向に力が発生します。バネをひっかけているだけなので、フレキシブルに義歯が動いてしまいます。入れ歯が動いて安定しないことで、入れ歯の下の歯ぐきが擦れて痛くなり、維持歯が揺さぶられてダメになって行ってしまいます。

このようなことから、ご飯を食べると痛い。軟らかい食べ物(炭水化物過剰の食事)に偏ってしまう。おしゃべりするためには入れ歯をはずさないといけない。という事態になっています。

さらには、義歯で噛むと痛いので、咬まない位に入れ歯を削ってあります。奥歯が咬まない状態なので前歯に負担が掛かり、かみ合わせの違和感が消えず、今度は歯を削っていく。という悪循環に陥っているのだと思われます。

 

・どのように治療するの?

咬合診断の結果、噛んでも痛くない・しゃべっても浮き上がらない・動かない入れ歯を作製しましょう。

ということで、

「片側のリーゲルテレスコープによる義歯の安定化と咀嚼機能の回復を図る」という治療計画になりました。

 

リーゲルテレスコープは、入れ歯を支える歯を内冠で固定し、入れ歯で全体を覆うことで、入れ歯でも歯を固定します。さらに、かんぬき装置を使って入れ歯と歯を固定します。おしゃべりしている時に浮いてきたり、人前ではずれてしまったりというような事態は、絶対に起こりません。あからさまに入れ歯を使っていることがわかってしまう入れ歯のバネがなくなりました。入れ歯を使っている印象は全くありません。

 

「ふらつかない・はずれない・何でも噛んで食べられる」自分の歯のようなドイツ式の入れ歯が完成しました。

お話し中に浮き上がってしまうことはありません。しっかり嚙んでも痛くなく、なんでも食べることができます。

義歯の使用は、患者様ご本人とメンテナンスする歯科医師にしか、わかりません。

とても喜んでいただいて、私たちも大変嬉しいです。

 

お口の機能である咀嚼能力が低下すると食品多様性が低下します。軟らかい食べ物・炭水化物過剰の食生活になり、カロリーはたくさん摂取しているけれど、必要な栄養素は全然足りない。いわゆるタンパク質低栄養という栄養失調になります。その結果、徐々にフレイルが進行し体が弱って活動性が低下していき、サルコペニア・ロコモティブシンドロームから寝たきりという深刻な状況になりかねません。

 

何でもよく噛んで、食事ができる状態に回復することによって、食事や会話を楽しむことができて、うつや認知症を予防し、ひいては全身の健康を保持増進することになります。お口の機能を高次元に回復することは、とても重要です。