・部分入れ歯の支持力・維持力・把持力(シジリョク・イジリョク・ハジリョク)
入れ歯の支えに使うご自身の歯には、
・支持力:噛む力を支える(縦方向の力)
・維持力:入れ歯が外れないようにする(脱離への抵抗力)
・把持力:入れ歯がズレないようにする(横揺れの抵抗力)
が掛かります。
入れ歯を安定させて、更には、長期間にわたって歯と入れ歯を守っていくために
この3つの力が歯にかかることを念頭に置いて、
適切な力のバランスをとることが重要です。
・クラスプ義歯(日本で一般的なバネを掛けるタイプの入れ歯)
支持・維持・把持がバネを掛けた歯だけに集中してしまいます。
過剰な力が入れ歯を支える歯に集中してしまうため、
入れ歯を安定させることが困難で、歯がグラグラしてきて、早期に抜歯となります。
ドイツ式テレスコープシステムを支持力・維持力・把持力でみてみると、、、
茶筒のような二重冠構造を利用した入れ歯です。
支持・維持・把持の全てを入れ歯の支えとなる歯が負担します。それでも、
歯の全体を入れ歯が包み込むことで力の重心が下がり、
はめ込んだ入れ歯が全体を一体化する2次固定効果によって
それぞれの歯に力の分散が起こり(ハンマー効果)
生理的に無理のない範囲の力しか発生しません。
ただし、設計が重要です。神経を取ってしまった歯は支えに使うことができません。
リーゲルとは閂(かんぬき)のことです。
維持力は、この“かんぬき装置”が負担します。歯に維持力はかかりません。
支持力と把持力を歯が負担します。
さらに、
リーゲルテレスコープの場合は、
支えとなる歯と歯をすべて内冠で固定します(1次固定)。
歯にかかる負担がより少なくなるので、
神経を取ってしまった歯を支えに使うことも可能です。
ご自身の歯が1~3本程度になってしまった場合の入れ歯です。
支持力や維持力は、歯肉と口腔周囲の筋肉が負担し、歯は把持力のみを負担します。
残っている歯が少ない場合は、歯の役割を限定することで負担を減らし
ご自身の歯を守りつつ、入れ歯の安定も図ってく。ということが
レジリエンツテレスコープの特徴です。
部分入れ歯を作製する場合は、
しっかり噛めて、見た目が綺麗で、なおかつ、歯が長持ちするように
支持力・維持力・把持力を
どこに与えてバランスをとり、コントロールしていくのか?
といったことを事前にしっかりと
咬合診断に基づくシミュレーションを行い、
治療計画について十分検討してから作製していく必要があります。
歯やお口の状態はお一人お一人違いますが
テレスコープシステムを適切に使い分けることによって、
力のバランスが取れて効果的な部分入れ歯を使用できるようになります。
入れ歯のお悩みはいつでも相談してください。